損保協会は、2024年9月に「代理店業務品質評価に関する第三者検討会」(以下「第三者検討会」)を設置し、損害保険代理店の業務品質を中立的な第三者が公正かつ適正に評価できる仕組みの構築に向けて検討を進めている。
このたび、第三者検討会において、第三者による代理店業務品質評価に関する制度概要を整理するとともに、その運営の手引きとなる「代理店業務品質に関する評価指針(以下「評価指針」)案等を以下のとおり取りまとめた(2024年12月20日NEWS RELEASE)。また、2024年12月18日から2025年1月20日(月)17時まで、意見公募を行う。
<策定の背景>
保険金不正請求事案の発生等を通じて、保険代理店に対する損害保険会社による教育・管理・指導(以下「指導等」)が実質的に機能しておらず、顧客本位の業務運営が実現できていなかったことが判明した。
このような状況のもと、2024年6月25日に金融庁ホームページに公表された「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」報告書では、代理店指導等は損害保険会社の責務である一方、特に大規模な保険代理店にあっては、その影響力の大きさから適切な指導等が行われないおそれがあるとして、損害保険会社による保険代理店に対する指導等を補完する枠組みとして、代理店業務品質の「第三者評価」の創設(すべての保険代理店への指導等に活用できる評価基準の策定を含む)が提言された。
このため、同協会内に大学教授、弁護士及び消費者団体を構成メンバーとする第三者検討会が設置され、9月から12月にかけて計4回の会合を開催し、このたび評価指針案を取りまとめたものである。
<評価指針案等の概要>
評価指針は、第三者による代理店業務品質評価の制度運営に関する手引きとして策定するもので、その内容は主に次の2点で構成される。
①業界共通の評価基準の策定
・顧客本位の業務運営の徹底の観点で、これまで以上に業務品質を重視した顧客目線での代理店評価を実施するもの。
・保険業法などの関係法令に基づき遵守すべき事項のほか、保険金不正請求事案の発生等を踏まえ、便宜供与の適正化や利益相反管理などを評価項目に追加。
②中立的な第三者による代理店業務品質評価
・上記①の評価基準に沿って、損害保険会社の代理店指導等を補完する仕組みとして、当事者と利害関係のない中立的な第三者が評価するもの。
・大規模な代理店等を対象に、損害保険会社による代理店指導等に加えて、第三者が代理店業務品質を点検・評価するほか、適宜、情報公開や監督当局との情報連携を行う。
(具体的な制度運営は、同協会内に新たに設置する「代理店業務品質評議会」(外部有識者を中心に委員構成)が担うこととする。)
評価指針案等についての意見は、2025年1月20日(月)17時00分までに、意見公募が行われ、本意見公募終了後、2025年度(2025年4月1日~2026年3月31日)はトライアル運用を実施して所要の見直し検討を実施したうえで、2026年度から本格運用が開始される予定である。
<具体的な評価項目>
- 顧客対応
(1) 法令等遵守・顧客本位の業務運営・顧客最善利益義務
(2) 意向把握・確認義務
(3) 情報提供義務
(4) 募集時の禁止行為・著しく不適当な行為
(5) 高齢者募集
(6) 障がい者募集
(7) 顧客の利便性向上に向けた態勢整備状況
(8) 募集資料等の適切な管理(募集文書、代理店ホームページ)
(9) 勧誘方針
(10) 募集人に対する教育・管理・指導
- アフターフォロー
(1) 契約管理(満期管理、契約保全)
(2) 保険事故発生時の対応
(3) 苦情の対応・管理
(4) 更改(継続)率等の把握・分析
- 個人情報保護
(1) 個人情報管理
(2) 個人情報保護に係るシステム面の整備
- ガバナンス
(1) コーポレートガバナンスに関する態勢整備
(2) コンプライアンス推進に係る態勢整備
(3) 従業員管理・従業員満足度向上に向けた取組み