損害保険業をめぐっては、昨今の保険金不正請求問題及び保険料調整行為問題を受け、関係する保険会社や代理店に対し、業務改善命令などの一連の対応を行ってきた。その中で、損害保険会社、保険代理店、企業間の関係やそれを踏まえた商慣習において不適切行為の誘因となる構造的課題や適切な競争を阻害する要因があることが認められた。
これらの問題を踏まえ、我が国損害保険市場における顧客本位の業務運営の徹底及び健全な競争環境の実現といった観点から、主に制度・監督上における必要な対応を検討するため、2024年3月から6月にかけて、「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」(以下、有識者会議)が開催され、下記内容の報告書(概要)が公表された。
有識者会議は、学者・保険業に係る実務者などをメンバー、関係業界団体及び関係省庁をオブザーバーとし、金融庁監督局保険課が事務局を務める。(具体的には、金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」(以下、ワーキング・グループ)の会合によって議論される。)
<顧客本位の業務運営の徹底>
- 大規模代理店に対する指導等の実効性の確保
第三者による代理店の業務品質の評価の枠組みの検討等
- 代理店手数料ポイント制度
「規模・増収」に偏ることなく「業務品質」を重視する評価体系への変革等
- 保険会社による代理店等への過度な便宜供与等の制限
自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引するほか、代理店の自立に向けた動きを阻害する出向等を解消等
- 乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保
- 代理店の兼業と保険金等支払管理部門の独立性確保等
<健全な競争環境の実現>
- 競争環境の歪みの是正
共同保険のビジネス慣行の適正化、政策保有株式の縮減及び不適切な便宜供与の解消等
- 損保会社における態勢の確保
- 企業内代理店のあり方
企業内代理店の自立の促進(特定契約比率の見直し等)