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【保険会社の海外事業戦略】国際人材の育成法、多様に 海外子会社間の異動など 第一生命は2022年から公募制度(2024年2月19日 日経記事を中心に)

企業が国境をまたいだグループ経営を進める中で、従来の国際人材の育成とは異なる方法を取り入れるところが増えている。海外のグループ会社の従業員を日本の本社に登用したり、海外グループ会社間の異動をしやすくしたりする例がある。多様性確保をすすめ、従業員のグローバルな視座を養うほか、国内志向の企業文化や風土を変える狙いがある。継続的な登用には人事面の統一など制度を整えることも欠かせない。

生命保険業界大手の第一生命ホールディングス(HD)は2022年から公募制度「グローバル・ジョブポスティング」を始めた。グループ企業や出資先の社員が自ら手を挙げ、国境を越えて活躍の機会を得られる。

受け入れられれば、最短3カ月から最長3年にわたって公募先で職務にあたる。海外を含む全グループの社員が対象で、所属する国や組織にとらわれず専門性を高めることができる。

第一生命HDのオーストラリア子会社、TALで採用されたイザベラ・シーマンさんは同制度を利用する社員の1人だ。2023年4月から同HDのIT・デジタル企画ユニットのイノベーション推進グループに所属。オンラインで1週間の2〜3割程度を日本の同HDの業務に充てている。

所属部署の役割は、グループ全体にイノベーションを促す可能性のあるアイデアを募り実証実験を支援するといったもの。シーマンさんは海外のグループ各社とコミュニケーションを図るなどの役割を果たしている。

シーマンさんの従来の任期は2024年3月までだったものの、働きぶりを評価されて4月からは来日して同部署の業務に専従する予定。シーマンさんは「TAL事業のみならず、グループ全体の経営を俯瞰できる。グローバルな視点を養うこともでき、今後のキャリア形成にも役立つと確信している」と話す。

第一生命HDは2023年3月期のグループ修正利益のうち、海外保険事業が34%を占める。将来的に海外事業の比率はさらに高まる見通しで、グループ全体で国境の壁を可能な限り低くしたい考え。

 

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