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【保険会社の海外事業戦略】三井住友海上、英国で保険引き受け倍増 海外利益過半へ(2024年2月21日 日経記事を中心に)

三井住友海上火災保険の船曳社長は、英国事業100周年記念行事で講演し、英国で買収した英アムリンの収益改善にメドがついたことで「海外事業の成長を加速させる」と述べた。主要市場の英国で引き受け余力を5年以内に約2倍の30億ポンド(約5700億円)に引き上げる。外国人の役員登用も増やす。

三井住友海上は16年に6300億円程度で英保険会社アムリンを買収し、「MSアムリン」を設立。ただ、買収後に世界的な自然災害の多発などを受けて赤字が続いた。船曳社長は「リスク管理やガバナンスの強化という経営の両輪をこの3年間で改善させてきた」と話した。黒字転換し、安定した収益を生み出せる体制が整ったことで積極経営にかじを切る。

米国市場でも拡大戦略をとる。2022年に約4億ドル(約600億円)で再保険仲介会社のトランスバース・インシュアランス・グループの買収を決めた。代理店が販売した複数の保険をまとめて保険会社にリスクを移し、手数料を受け取る仲介ビジネスが米国で伸びている。今後はトランスバース社を軸に成長を加速させ「買収ありきではないが、どのような手段も排除しない」と述べた。

海外ビジネスの存在感が高まる中、経営体制でも海外人材を積極登用する方針も示した。現在は2人の外国人の執行役員を抱えるが、欧米地域の管理強化に向けて「今後は役員における外国人のウエートを高めていく」と意欲を示した。

三井住友海上を傘下に持つMS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)の中期経営計画では2026年3月期に海外利益を全体の3割ほどとする計画を掲げている。前期実績では1割程度だが、主要事業会社の三井住友海上の海外利益が膨らめば将来的に「(HDでも)海外比率は3割、半分と高まっていく」と話した。「海外へのリスク分散が進めば結果的にリスクを取る力が増す好循環が生まれる」と今後の成長に力を込めた。

 

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