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東京海上HD小宮社長「成長とガバナンスを両立」 不祥事受け(2024年1月28日 日経記事を中心に)

東京海上ホールディングス(HD)の小宮暁社長は日本経済新聞の取材で、2023年12月に金融庁から業務改善命令を受けた企業向け保険料の事前調整問題について「現場への注意や警告が十分でなかった」として経営に責任があるとの考えを示した。2024年度からはグループ全体でのガバナンス(企業統治)強化を柱に据えつつ、保険以外の事業領域の拡大を図る考えを示した。

保険料調整の背景には、政策株の保有状況に応じて保険契約の損保各社のシェアを顧客企業が決めるといった日本独特の商慣習があった。

小宮氏は調整行為と政策株の関係性については断定せず、「資本効率を上げていくためにこれまでも政策株を売却してきた。今後も売却し続ける」と資本の質を高めていく考えを強調した。実際、政策株の2023年9月時点の保有残高(簿価ベース)は2002年3月に比べ71%減っている。(下記「損保の政策株売却、22年度15%増 投資家の圧力背景に」をご参照

また、小宮氏は「海外保険会社出身の経営幹部には理解しがたい部分がある。例えば、調整行為が問題になった共同保険は日本では一般的な仕組みだが、海外は(買い手の立場で保険契約の締結を媒介する)ブローカーの制度が前提となっている」

2024年度からは新しい中期経営計画がスタートする。一連の不祥事も踏まえ、小宮氏は

目指すのは「成長とガバナンスを高いレベルで両立させる経営だ。自然災害などの影響を平年並みに補正した22年度の修正自己資本利益率(ROE)は15%だった。競合相手として認識する仏アクサは23.0%と、海外大手には見劣りする。だが23年度は改善が見込める。」として、「もう少しで手が届くところまで来た」と手応えを感じている。

人口減などに伴い国内損保市場の縮小も見込まれるなか、さらなる成長に向けM&A(合併・買収)の機会を探り続ける。保険以外の価値を提供する領域の「飛躍的な拡大」も目指すべきグループの姿として掲げる。

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