ライフネット生命保険(注)が近く資本を増強し、三井住友カードなどが出資することが複数の関係者への取材で分かった。資本増強は100億円規模で、このうち30億円前後を三井住友カードが引き受ける。3000万人超の会員を抱える三井住友カードの顧客網を生かし、個人保険の拡販につなげる。独自のポイントがたまる保険商品の共同開発も検討する。
ライフネット生命は筆頭株主のauフィナンシャルホールディングス(FH)にも新たな資本を20億円前後割り当てる。残りを公募増資などで調達する方向だ。三井住友カードは出資比率4%前後の大株主となる見込みだ。
ライフネット生命の2023年3月期決算は、最終損益が51億円の赤字(前の期は33億円の赤字)。日本の会計基準では08年の営業開始から赤字が続くなか、100億円規模の資本増強で財務基盤を強化する。
ライフネットは20年と21年に、海外公募増資であわせて200億円超の資本を調達した。赤字が続くなか、公募増資だけでは資本をまかないきれず、auFHや三井住友カードからの出資に頼らざるを得なくなったようだ。
三井住友カードとライフネット生命は22年10月に業務提携を発表した。専用サイトを設け、医療保険や自動車保険を取り扱っている。三井住友カードと三井住友銀行はスマートフォンのアプリでクレジットカードや口座管理の金融取引を一体化した「Olive(オリーブ)」を展開。同サービス内で保険取引の拡大もめざしている。サービス利用者は80万人にのぼり20~40代が多いという。
(注)ライフネット生命
ライフネット生命は、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社。2006年10月23日設立(2008年5月より営業開始)。出口治明氏が創業者(2017年に退任)。2022年11月、保有契約件数が55万件となった。オンライン生保市場の拡大を牽引するリーディングカンパニーを目指している。