ダイレクト自動車保険7社(ソニー損保、セゾン自動車火災、アクサ損保、チューリッヒ保険、SBI損保、三井ダイレクト損保、イーデザイン損保)が発表した2022年度(2023年3月期)決算によると、7社の自動車保険の元受正味保険料などの合計は前年比2.6%増の4,078億円と前年実績を上回った。5社が前年比で増収となった。
【ダイレクト自動車保険】
新聞、雑誌またはテレビ等の広告やDMによる保険募集は、1982年1月にアメリカンホームが普通傷害保険と個人賠償責任保険について認可を取得し、販売を開始した。その後、1996年4月の保険業法の改正、1997年9月には自動車保険の通信販売が解禁となり、アメリカンホームがインターネットを活用した個人向け「リスク細分型自動車保険」を発売したのを契機に、2023年4月1日現在7社が自動車保険のダイレクト販売を行っている。
ダイレクト自動車保険の業界シェアは、正式に公表されていないが、損保協会・会員会社(2022年9月1日現在29社)の元受正味保険料合計(2022年度で43,012億円、対前年比99.9%)と比較して計算すると、2022年度で9.5%となる。(昨年度は9.2%)まだ小さいながらも年々拡大しており、この傾向は今後も続くと考えられている。
【各社の内訳】
①ソニー損保の自動車保険は、保有契約件数が堅調に拡大したことから、元受正味保険料は前年比3.4%増の1,285億円と引き続き堅調に推移した。同社全体の元受正味保険料は同3.5%増の1,465億円、経常収益は同3.0%増の1,451億円となった。経常利益は同9.7%増の99億円で、当期純利益は同10.7%増の71億円となっている。
②セゾン自動車火災の自動車保険の元受正味保険料は同12.2%増の614億円。同社全体の元受正味保険料は同11.0%増の661億円、経常利益は同32億円減の▲8億円、当期純利益は同33億円減の▲9億円となっている。
③アクサ損保の自動車保険の元受正味保険料は同1.8%増の553億円と前期実績を上回った。同社全体の元受正味保険料は同1.4%増の584億円、経常利益は同18.0%増の63億円、当期純利益は同18.6%増の45億円となっている。
④チューリッヒ保険の自動車保険の元受正味保険料は、新規契約、継続契約ともに安定的に推移し、同3.7%増の526億円と伸展した。同社全体の収入保険料は、主力商品の傷害・医療保険と自動車保険の元受保険料が共に増収となったことから、同4.0%増の1,143億円となった。経常利益は同73.9%増の119億円。当期純利益は同76.4%増の98億円だった。
⑤SBI損保の自動車保険の元受正味保険料は同2.9%増の460億円となった。インターネット割引拡大や業界初のインターネット上で申し込みできる法人契約の取扱開始などの商品改定、および今年1月以降新ブランドキャラクターの芦田愛菜さんを起用したCM施策などを新たな層の顧客開拓につなげた。同社全体の元受正味保険料は、同3.0%増の496億円、経常利益は同2.5%増の13億円、純利益は同47.4%増の8億円だった。
⑥三井ダイレクト損保の自動車保険の元受正味保険料は同2.3%減の342億円だった。同社全体の元受正味保険料は同2.3%減の343億円、経常利益は同13億円減の▲5億円、当期純利益は同9.0%増の8億円となっている。
⑦イーデザイン損保の自動車保険の正味収入保険料は同11.5%減の298億円だった。経常利益は同13億円減の▲2億円、当期純利益は同12億円減の▲3億円となっている。