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テクノロジー技術を活用した損保各社の損害査定体制

日本列島が異例の長雨に襲われ、被害を補償する損害保険業界も対応に追われた。異常気象による災害の頻発を受け、異常気象による災害の頻発を受け、損害保険各社は最新のテクノロジーを駆使して迅速な保険金の支払いを進めようとしている。

損害保険大手は人工衛星やドローン、スマートフォンなどのIT(情報技術)を積極的に活用し、被災状況の確認と迅速な保険金支払いに役立てる。

 

東京海上日動はフィンランドの人工衛星企業と連携し、災害発生直後から、例えば九州北部や広島市、長野県の天竜川流域など被災地の衛星画像を撮影。画像を基に被害の範囲や浸水の深さを特定し、補償対象かどうかを無人で確認。電話やウェブで契約者に保険金請求を促している。

また、事故受け付けや保険金の支払いなど、被災地以外でもこなせる業務は全国の拠点に遠隔で分散し、被災地の拠点は立会調査に専念できるようにした。

 

❷ドローンで空撮する損害調査は、損害保険ジャパン三井住友海上あいおいニッセイ同和損保が天候の改善後に予定している。調査員が入れない浸水地域の被害を把握し、浸水した家屋や自動車の早期復旧を後押しする狙いだ。

 

損害保険ジャパンはLINEで契約者に対し、事故にあった場合の連絡方法を配信した。専用のチャットでのやり取りに誘導し、電話をかけなくても済むようにしている。

また、災害対策本部の密を避けるため、調査員にホテルでのリモートワークを取り入れた。調査員はホテルから契約者の自宅に直行直帰する。契約者からの電話を保険金支払部門の約300拠点に転送できる体制も敷いた。

 

三井住友海上は車両の損害の確認でスマホのビデオチャットを活用する。両社は500ミリリットル缶などを物差しに、浸水度合いを撮影・送信すると、保険金の目安を示す仕組みをつくった。

今回、早期の保険金支払いを希望する契約者に携帯のショートメッセージを急いで送信すると、1時間半で契約者から損害情報が届いた。画像を基に損害額を算定し、申告から24時間以内に保険金の支払手続きを完了した。

 

❺あいおいニッセイ同和はスマホで市区町村ごとの被害予測を表示する地図サービスを通じ、避難場所や避難所の混雑状況を公開している。大規模な災害後は保険金請求手続きの「代行業者」が高額な修理見積もりを示して過大な保険金請求と手数料を求めるトラブルが増えるため、24時間対応の専用相談窓口も設けた。

 

❻自然災害の増加は日本にとどまらない。2021年の1~6月の世界の自然災害による損害保険額は400億ドル(約4兆4000億円、スイス再保険調べ)。同期間としては東日本大震災があった11年以来、10年ぶりの高水準だ。

世界では急速な都市開発に伴い、自然災害に脆弱な地域が広がっている。スイス再保険によると洪水や干ばつなどの被害は中軽度だが、発生頻度の高い災害が増えている。2021年7月には欧州や中国で深刻な洪水が起きた。災害から人々の暮らしを守る損保会社の最前線では、自然の猛威に保険テクノロジーの進化で対峙する挑戦が続く。

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