・損害保険料率算出機構は、「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づき、地震保険基準料率の変更に関する届出を、2021年6月10日付で金融庁長官に行った。
・2011年の東日本大震災後、一貫して引き上げが続いていたが、最新の予測モデルを反映した結果、引き下げが可能と判断した。
・早ければ2022年度中に損保各社が改定を実施する。
【届出の概要】
・地震保険の基準料率を全国平均で0.7%引き下げる。(建物の所在地、構造によって、引上げ・引下げとなる区分がある。)
・地震保険の長期契約の割引※を見直す(長期係数の見直し)。
※この割引は保険期間が2~5年の契約に適用される。地震保険の保険期間は最長5年
【改定の主な背景・ポイント】
①2017年1月から実施した3段階改定中の保険料不足の解消
②各種基礎データの更新
③所在地・構造別の基本料率の見直し(激変緩和措置など)
・地震保険は火災保険に付帯し、地震による揺れや津波、火災の被害を補償する。全国では火災保険の加入者のうち約7割が付帯している。
・東日本大震災後に地震保険の料率は大きく上がった。料率機構は地震の発生を予測するモデルの変更などを反映して震災後に4回連続で値上げした。21年1月が直近の改定で、震災前と比べ全国平均で3割超上昇した。今回はそれに続く改定で、東日本大震災後に初めて値下げに転じる。
・文部科学省の地震調査研究推進本部が3月に公表した20年の地震予測モデルを反映した結果が2.3%の引き下げ要因となった。南海トラフ沿いで発生する大地震の確率が減少したことなどを反映した。