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2021年に施行予定・審議予定の保険業界に影響する主な法律改正

①改正会社法(2021年3月1日に施行)

今回の改正により、上場企業などへの社外取締役の設置義務化や取締役の報酬決定方法の透明化が図られる。

株主総会の運営や取締役の規律などを見直して、企業統治を強めるのが目的。

社外取締役の設置については、すでに東証上場企業の99%が導入しているが、取締役に関する見直しは多岐にわたり、今年開く株主総会に影響が及ぶ点も多い。新型コロナウイルスの感染対策などで手が回っていなかった企業も早急な対応が求められる。

また大企業が株主総会で個別の取締役の報酬を決めていない場合には、取締役会による決定方針の決議と概要の開示が求められる。取締役会から委任された形で経営トップが自分を含む取締役の報酬を決めるお手盛りを防ぐためだ。

取締役が負担する損害賠償金などを保険会社が一定の範囲で補てんする会社役員賠償責任保険や、会社補償についての規律も設けられる。株主代表訴訟などのリスクを恐れずに経営判断できる環境を整備するのが狙いだ。役員に生じた損害を会社が補償する点については利益相反の懸念が指摘されていたが、今回の法改正で手続きが明確化したことで導入する企業が出てくると見られる。

施行が3月ということもあり、決算期が2月期以前と3月期以降で異なる対応が求められる場合があることに注意が必要だ。たとえば報酬に関する事業報告は開示項目が増えるが、施行日以後に期末を迎える年度からが対象なので、決算期が2月期以前の企業は1年間の猶予がある。

 

②金融サービスの提供に関する法律(2021年度中に施行の見込)

2020年6月5日「金融商品の販売等に関する法律」が改正され、「金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律(「金融サービスの提供に関する法律」)」が成立し、同月12日に公布された。2021年の秋冬頃に施行の見込。

今回の改正では、新しく「金融サービス仲介業(注)」が創設された。

 (注)「金融サービス仲介業」とは、「預金等媒介業務」、「保険媒介業務」、「有価証券等仲介業務」 、「貸金業貸付媒介業務」 のいずれかを業として行うことをいう(金融サービスの提供に関する法律11条)。

就労や世帯の状況が多様化するなか、利用者が、様々なサービスのなかから自身に適したものを選択しやすくすることは重要だが、銀行・証券・保険すべてのサービスをワンストップで利用者に提供する仲介業者は少なく、利用者の利便性の点からは十分とはいえない状況だった。

そこで、イノベーションを促進し、利便性のより高い金融仲介サービスを実現していく観点から、複数業種かつ多数の金融機関が提供する多種多様な商品・サービスをワンストップで提供する仲介業者に適した業種として、「金融サービス仲介業」が創設された。

今回の改正により、業態ごとの縦割りだった既存の仲介業と異なり、1つの登録で銀行・証券・保険すべての分野のサービスを仲介可能とするなど、ワンストップ提供に最適化し、

様々なサービスを取り扱えるよう、金融サービス仲介業には、特定の金融機関への所属を求めないことにし、代わりに、取扱可能なサービスの制限や利用者財産(サービス購入代金など)の受入禁止、保証金の供託義務により利用者保護が図られることになる。

 

③個人情報保護法改正案(民間、国、独立行政法人で分かれていた法律の一本化、2021年に国会で審議見込)

政府は、行政デジタル化を推進する一環として、国の行政機関、独立行政法人、民間事業者を別々に対象としていた三つの個人情報保護法制を一本化する。また大学などの学術研究分野も新たに対象とし、個人情報を扱うルールを統一する。これらの内容を盛り込んだ個人情報保護法改正案を2021年1月召集の通常国会に提出、成立を目指す。

関係機関で個人情報を円滑に共有できるようにするのが狙い。新型コロナウイルスの感染者情報など医療分野のデータ活用や、災害時の行方不明者の情報などで活用が期待される。

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