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保険会社のESG(環境・社会・企業統治)への取り組み①

  • 損保大手、脱・石炭で足並み

損害保険の大手各社が「脱石炭」で足並みをそろえる。

SOMPOホールディングス(HD)は9月23日、新規建設する石炭火力発電所の保険の引き受けを原則として停止すると正式に発表した。12月1日から適用する。

他の大手も同様の方針を打ち出す。一方、取引先への配慮で例外規定を設けているほか、政府のエネルギー政策も考慮する必要があり、難しい判断を迫られそうだ。

東京海上ホールディングス(HD)も9月28日、石炭火力発電所への新規の保険引き受けと投融資を原則として行わないと発表した。10月1日から海外を含めたグループ全体で適用する。気候変動に対する取り組みを強化する。

三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険を傘下に持つMS&ADインシュアランスグループHDも同様な方針を示している。

これまで、損保大手の脱石炭への取り組みはメガバンクなどに比べて遅れてきた。発電所建設のための事業融資(プロジェクトファイナンス)は通常、保険が前提となっており、引き受けが止まった場合の影響が大きいためだ。

もっとも、損保各社は気候変動に対する取り組みへの関心は高い。国連傘下の国連環境計画(UNEP)と世界各国の金融機関でつくるUNEP金融イニシアチブは6月に損保向けのESG(環境・社会・企業統治)への取り組みの手引書をまとめた。金融庁でも、監督局の保険課長にチーフ・サステナブルファイナンス・オフィサーを兼務する池田賢志氏が就任し、各社は取り組みを再加速することになった。

一方で、石炭火力を「ベースロード電源」としている経済産業省・資源エネルギー庁からは、損保の態度表明には慎重論が根強い。

SOMPOホールディングス(HD)は既に引き受けを表明している案件は除外し、一定以上の発電効率を持つ設備も慎重に対応するとして含みを残した。ようやく足並みがそろったものの、取引先や政策との整合性に配慮した方針をどう市場に説明していくのか。今後も高度なバランス感覚が求められそうだ。

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