大手生命保険会社は戦後一貫して営業職員を通じた販売を主力に据えてきた。生命保険協会によると、業界全体の人員数は約23万人にのぼる。保険加入の実績に応じて支払う給与の割合が高く、戸別訪問や企業への「飛び込み」による営業力の高さで知られる。
大手生保の場合、「義理・人情・プレゼント(GNP)」と呼ばれる顧客との関係を強みにしてきた。近年は複数社の保険を同時に販売する「保険ショップ」が台頭。保険加入の比率でも代理店が2割弱にまで高まった。保険を比較しながら加入したいという需要に応え、若年層を中心に支持を伸ばしている。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、生保各社は在宅勤務への切り替えと対面営業の自粛を余儀なくされた。対面での保険販売は新型コロナの感染を広げかねないためで、各社は顧客との関係という強みを維持しながらオンラインを活用する手法の整備に心をくだく。在宅勤務にあわせ、業務自体のデジタル活用も進めている。
第一生命保険は今年度中にも、スマートフォンなどを使い、オンラインで保険契約を結べるようにする。生保の営業職員が一度も客と接触しない営業は大手生保で初の取り組みとなる。
日生は営業職員への専用スマホの配布を進めている。スマホを使って今秋をめどに顧客とLINEの連絡先を交換し、保険の提案書の送付や販促用の書類の配布に使うほか、テレビ電話の活用も進める。
明治安田生命は、顧客がスマホで保険の申し込み手続きをできるアプリを2021年4月に導入する方針を明らかにした。勧誘や詳しい説明は営業職員が今と同様に対面で進めるが、申し込みは非対面でもできるように手続き方法を広げる。