データ漏洩やネット侵入などサイバーリスクに備える「サイバー保険」に注目が集まっている。サイバーリスクは複雑で、先行きが見通しにくい面もあるものの、2025年には市場規模が200億ドルに達するとみられている。
派手なサイバー攻撃がここ数年相次いでいるため、あらゆる業界のあらゆる規模の企業がサイバー攻撃に対する不安を抱くようになっている。
英保険会社ヒスコックスがサイバー攻撃の備えについて調べたリポートによると、米企業の半数以上が19年にサイバー関連の事故があったと回答した。
独保険大手アリアンツがリスク管理の専門家2700人を対象に実施した聞き取り調査でも、サイバー問題が企業にとって最大のビジネスリスクだった。
従来の保険ではデータ漏洩やネットワーク侵入などのサイバーリスクは補償されない。企業はこうした攻撃を防ぐためにサイバーセキュリティー技術に多額の費用を直接投じる一方、攻撃を受けた際に自社を守るためにサイバー保険にも加入するようになっている。
ただ、サイバー保険で何が補償されるかを実際にはよく分かっていない。こうしたリスクは複雑で、過去の請求データも乏しいため、サイバー保険市場には不確実な面もある。
もっとも、まだ初期段階にあるこの市場の規模は25年には200億ドル(約2兆2000億円)に達するとみられており、保険会社にとっては大きなチャンスとなる。
<サイバー保険市場の現状>
サイバー保険への加入はここ数年で大幅に伸びている。米国保険監督官協会(NAIC)によると、18年の米国の元受け保険料は35億ドルを突破した。
それでも、18年のサイバー保険料は6740億ドルを超える米損害保険業界全体の1%にも満たなかった。