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大手生保2019年(平成31年)3月期決算

日本生命保険、第一生命保険など大手生命保険会社の2019年3月期決算は最高益が相次いだ。外国債券や株式など、国債以外のリスク資産に運用資金を配分し、マイナス金利による運用難の逆風をはね返した。

本業のもうけを示す基礎利益は日生と第一、明治安田生命保険が最高益を更新し、住友生命保険も3期連続の増益を確保した。

生保の利益は大きく2つの柱からなる。保険金の支払いが想定よりも少なく済むことによる「危険差益」と、実際の資産運用の収益が予定より大きくなることによる「利差益」だ。2019年3月期は利差益で増益となった大手生保が目立った。

2018年度の運用実績では、国内債券への投資額が1.5兆円減った一方、外債が2.2兆円増加した。株式や投資信託を含めて価格変動や為替変動のリスクを伴う資産での運用の比重を重くし、国債から資金をシフトした。

好業績の恩恵は保険の契約者への配当に向かう。第一が350万人、日生と明治安田はそれぞれ340万人を対象に増配する。

ただ、「一部の生保ではより高い利回りを求めて、海外クレジットリスクを選好する動きがある」。2019年2月、金融庁の遠藤俊英長官は生保トップとの意見交換会で、拡大する海外投資に言及した。米中の貿易摩擦などで市場環境が不安定になることを踏まえ、各社のリスク管理体制の再確認を促した。

株式会社であり上場企業の第一生命を除けば、大手生保4社うち、日生も明治安田も住友も非上場の相互会社だ。資本効率を考慮する必要は上場会社ほど迫られない。

ただし、リスク資産の削減は相互会社にとっても無縁ではない。金融庁が保険会社への新たな規制として検討している「経済価値ベースの健全性規制」では、「株式などのリスク資産に投資しにくくなる」といわれている。

 

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