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企業内の損保代理店、英企業が買収発表 譲渡先に広がり(2024年11月26日日経記事を中心に)

三菱ケミカルグループは、ダイヤリックス株式会社(以下「ダイヤリックス」)の保険代理店事業を、エーオンジャパン株式会社(以下「エーオン」))に譲渡することで同社と合意し、2024年11月25日付で最終契約書を締結したことを発表した。譲渡日は2025年3月1日。

エーオンは企業向けの保険契約の仲介やコンサルティングを扱うブローカーの世界大手の一つ。日本ではブローカーと代理店の両方の顔を持つ。エーオンが日本の大手企業が持つ企業内代理店を買収するのは初めてだ。

ダイヤリックスは主に日本国内の三菱ケミカルのグループ会社と従業員、家族向けの損害保険や生命保険を取り扱う「企業内代理店」の一つだ。買収後はこうした業務をエーオンが担う。

ダイヤリックスによれば(ニュースリリース「当社保険代理店事業の譲渡について」)

  • 事業譲渡日以降、三菱ケミカルグループ向けの保険新規募集・継続手続き等の代理店業務はエーオンジャパンが行う。既存の保険契約は内容を変更されることなく引き続き有効に存続する。また、三菱ケミカルグループ各拠点における営業体制は継続する予定。       
  • 今回決定の背景・目的は、昨今の企業内保険代理店を取り巻く経営環境の変化、三菱ケミカルグループのグローバル保険運営の必要性、新中期経営計画に基づく事業ポートフォリオ改革推進の観点から、エーオンジャパン社に保険代理店事業を譲渡することが適切と判断したもの。

 

大手メーカーや総合商社など、日本企業の多くはグループ内に企業内代理店を抱えてきた。金融庁によれば国内に9000以上の企業内代理店がある。

ただ企業内代理店は保険知識が乏しい社員も多く、損保会社に実務を頼ることも少なくない。企業や従業員にとって適切な保険を代理店が推奨できていないとの指摘もある。損保大手4社で2023年に発覚した企業向け保険料の事前調整問題は、企業内代理店と損保会社のもたれ合いの関係が一因とされ、金融庁も問題視していた。

企業内代理店を取り巻く環境変化に人材難や募集人の高齢化が重なり、企業内代理店を手放す動きは広がってきている。

従来は銀行系の大型代理店などに事業譲渡を相談する例が多かった。国内外の保険商品に知見を持つ外資系のエーオンも参入した。エーオンは今後も事業買収を積極的に進める方針とのこと。企業内代理店の受け皿が増えたことで再編が一層加速する可能性がある。

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