MS&ADインシュアランスグループホールディングスは5月27日、政策保有株式の売却で得た資金の約6割をM&Aなどの成長投資に充てる方針を明かした。2割程度は配当や自社株買いなどの株主還元に使う。売却の前倒しで単年度の売却益が想定を上回る場合は特別配当を出す。MS&ADは今年3月末時点で約3兆6000億円の政策株を保有する。2030年3月末までに残高をゼロとする目標を掲げるなか、具体的な資金使途の内訳を公表するのは初めてだ。
SOMPOホールディングスは5月28日、政策保有株式の売却益の50%を原則として自社株買いや配当で株主還元する方針を明らかにした。人材の育成に300億円規模を投資し、専門性を磨くことで政策株や企業への営業協力に頼らない営業モデルの確立につなげる。同社は時価ベースで約1兆8000億円の政策株を抱え、31年3月末までに残高をゼロにする目標を打ち出している。株主還元を強化するほか、売却によって得られる資金を使って成長が見込める海外でのM&A(合併・買収)も検討する。
東京海上ホールディングスは5月20日、24年3月末時点の時価ベースの政策株3兆5000億円のうち、今期に6000億円を売却し、3年間で半減させると発表した。30年3月末までには全て売却する。売却によって得た資金の一部は配当金など株主還元の強化に充当する。保有目的を「純投資」に変更する形での削減は行わないともした。これまで損保4社の中で最も多額の政策株を抱える東京海上は唯一ゼロにする目標時期を示していなかった。