3月26日未明、米東海岸のボルティモア港の橋が崩落した事故で、自動車や石炭関連のビジネスに長期間の影響が出る見通しだ。橋の復旧と港の再開に時間がかかり、企業は物流ルートの変更を迫られる。損害保険の請求額は数十億ドル(数千億円)におよび、海上事故で過去最高額になるとの試算がある。
今回の事故をうけ、大きな費用負担を被る公算が大きいのは保険会社だ。世界最大級の保険市場を運営する英ロイズ・オブ・ロンドンのジョン・ニール最高経営責任者(CEO)は28日、保険金請求をうけた保険会社の支払いが「数十億ドルとなり、海上事故で過去最大になる可能性がある」と語った。米ブルームバーグ通信が報じた。
英バークレイズは橋の損傷や被害者への賠償金、港が利用できないことで発生するビジネス損害で約30億ドルの保険金請求が発生する可能性があるとしている。モーニングスターDBRSも計20億〜40億ドルと推計する。
これまでの最高額は2012年にイタリア中部沖で発生し、30人以上が死亡した豪華客船コスタ・コンコルディアの座礁事故で、15億ドル程度だったようだ。
ロイズの保険市場では会員の保険会社がシンジケートと呼ばれる引受団をつくって大口の保険案件を共同で引き受ける。今回の案件は、仏アクサ系の保険会社が主導したようだ。
ロイター通信によると、アクサは28日、「(事態を)引き続き注視していく」としたうえで「現時点では(橋崩落を巡る保険金請求で)グループが被る損失が重大なものになるとは想定していない」とする声明を発表した。