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自然災害は宇宙から確認(2020年7月30日「日経朝刊」)

豪雨など自然災害の増加が東京海上日動に危機感を募らせている。自動車保険と同じく主力事業である火災保険では、2020年3月期に2,640億円の保険金を支払った。前の期の3,065億円に続く高水準だ。東日本大震災の影響のあった2012年3月期を除けば過去10年は2千億円を下回っていたが、今期も相次ぐ災害で支払額が膨らむ公算が大きい。

活路を見いだすのはやはりデジタルだ。7月に九州を襲った豪雨被害では人工衛星を使った。画像から被害の範囲や浸水高を特定し、調査のスピードを上げた。社員が一軒一軒を訪れ、目視で被害を確かめる手法は過去のものになりつつある。

新規事業の開拓に資金を投じるには、デジタル化による既存事業の収益力向上が欠かせない。「2026年度をめどに、社内事務を2019年度と比べて2~3割削減していきたい」。東京海上ホールディングスの生田目雅史デジタル戦略部長は意気込む。

自動車と火災保険に続く柱を育てるため、2015年に9千億円で買収したのが米HCCインシュアランス・ホールディングスだ。会社役員向けの賠償責任保険やスポーツ向けの興行中止保険など、専門性の高い保険が強みだ。東京海上日動はHCCのノウハウを参考に、2020年には虚偽申告で買収後に発生した損害を補償する保険も売り出した。

損害保険は顧客が不幸に見舞われたときに寄り添ってこそ信頼を獲得できるビジネスだ。いざという時に迅速に対応するためにも、デジタル化を通じた業務変革が不可欠になっている。

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