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貿易保険の現状② 貿易保険「最低格付け」最多 コロナなど響く(2022年10月2日 日経新聞の記事を中心に)

 企業の海外取引で生じる損失を補償する貿易保険で、73か国・地域の信用格付けが最低レベルとなり、過去最多になったことが分かった。政府全額出資の日本貿易保険(NEXI)が運用・格付けしているが、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻が響いた。国際的なビジネスのリスクが高まっている実態が浮き彫りになっている。

 NEXIは相手国・地域を信用度の高い順に、AからHまで8段階で格付けしている。現在、格付けする225の国・地域のうち、73か国・地域が最もリスクの高いH評価になった。NEXIが株式会社となった2017年以降では過去最多だ。

 2019年10月時点と比較すると、12か国が北朝鮮やパキスタンと同じHに引き下げられた。ウクライナに侵攻したロシアと友好国のベラルーシも含まれる。各国が発動した経済制裁でデフォルト(債務不履行)の可能性が高まったためだ。

 コロナ禍の影響で経済の成長率が低下し、財政や国際収支が悪化したことなどが要因となった。コロナ対策の財政出動で債務が膨らんだことも新興・途上国に影響した。

 世界的な食料不足やエネルギー価格高騰が長引けば今後も途上国向けの保険の格付けが上がらず、日本企業などからの投資が滞って経済成長の足をさらに引っ張りかねない。

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