お知らせ

地震保険支払い、最短7日 三井住友海上(2022年8月29日 日経新聞の記事を中心に)

 三井住友海上は災害発生から最短7日後に保険金を支払う中小企業向け地震保険の取り扱いを始める。震度6弱以上が対象。これまでは損害調査のための支払いまで時間がかかった。過去に起きた地震による企業の被害データを分析し、事前に震度に合わせた保険金を設定。地震発生時に自動で支払う仕組み。被災した企業が事業を再開するまでの資金繰りを支援する。

 損害証明無しで保険金を支払う企業向け地震保険は国内で初めて。三井住友海上が持つ地震リスクの評価モデルと過去の地震による企業の被害額などを分析して保険額を算出し、金融庁に販売が認められた。

 損害保険会社は通常、地震が起きると職員らを現地に派遣し、工場などの損傷度合いを確認したうえで保険金を支払う。震度6弱以上の大規模震災では調査が難航し、支払までに平均で200日かかる。東日本大震災では1年超、熊本地震では8か月を要した。

 2022年8月末に発売する「パラメトリック保険(注1)」は平均14日で支払う。事前に保険金と災害の条件を決め、条件を満たす災害の発生時に被災した契約者は保険金請求の手続きをせずに保険金を受け取れる。緊急時の休業補償を想定しており倒壊した工場などの再建は実損を補償する地震保険に別途加入が必要だ。

 気象庁の震度情報をもとに、地震が発生した地域の企業の口座に保険金を振り込む。保険金は企業の粗利益で決まり、例えば1日10万円以下なら100万円、31万円以上なら1000万円となる。一般的な地震保険に比べて保険料は2割ほど高いが、被災で当座の資金を確保したい需要を獲得する。今後3年間で約1万契約、収入保険料約30億円を目指す。

 (注1)「パラメトリック保険」とは、損害と因果関係のある指標(パラメーター)が、契約時に設定した条件を満たした場合に、予め決められた一定額の保険金を支払う保険である。パラメトリック保険は、20年ほど前に始まった保険リンク証券(ILS)など代替的リスク移転(ART)ソリューションの一環として生み出され、特に自然災害等の発生時に、早期の復旧費用を提供する手段として世界的に活用されている。近年は、科学・情報技術の進展に伴い、自然災害や天候リスクに留まらず、対象リスクを広げ商品も多様化するなど、欧米の保険会社を中心に、積極的な取組事例が見られる。

キャプティブについて