・8月17日、金融庁では、金融機関等の実効的な態勢整備を促す観点から、平成30年2月に公表した「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」以降の金融庁の取組み、及び金融庁所管の金融機関等の対応状況等を中心に、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の現状と課題」を取りまとめ公表した。
・保険会社に関する記載内容のポイントは次のとおり。
❶生命保険会社における一時払い終身保険や養老保険、損害保険会社における積立型保険といった、契約満了前に中途解約を行った場合にも高い解約返戻金が支払われるような貯蓄性を有する商品については、犯罪による収益を即時又は繰り延べて資産化することを可能とするものである。こうした商品には、マネロン・テロ資金供与リスクが存在していることに留意を要する。
❷海上保険等の保険金支払い、保険契約締結後に外国に転居した非居住者に対する生命保険金等の支払いに関して、国境をまたぐ多額の取引である点も踏まえたリスク分析が十分に行われていないという事例や、複数の代理店にまたがる保険契約締結に際して、取引時確認の適正性を確保するための規程等の整備に課題が見られる事例が確認されている。
❸このため、保険会社においては、まずは、自社の取り扱う商品と、入出金の具体的な場面において、いかなるマネロン・テロ資金供与リスクに直面しているのか、全社的な視点から洗い出しを行うことが必要である。
また、リスクの高い取引の把握には、システム面も活用した異常取引の検知等も重要な契機となるものであり、保険会社においても、例えば、貯蓄性の高い保険商品について、中途解約やクーリング・オフにより契約締結から短期間のうちに多額の解約返戻金を受け取る異常取引等について、システム等を用いてモニタリングを行うことが考えられる。