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損害保険会社、大規模水害の多発で水災保険料一律見直し検討

頻発する集中豪雨などで洪水の発生リスクが高まっていることを受け、損害保険の大手各社は全国一律で決めている水災補償の保険料を危険度に応じて地域別に設定する検討を始めた。河川周辺に住む契約者は保険料の引き上げにつながる可能性がある。

首都圏で大規模な水害が起きれば、損保各社の保険金支払額は過去最大の2兆円規模に膨らむと推計される。地震だけでなく水害への備えも課題となってきた。

東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン日本興亜、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の試算によれば、浸水による保険金の支払件数は4社合計で荒川が約80万件、利根川が約70万件。2018年の大規模風水害による1件あたりの平均保険金単価(100万円程度)を前提に推計すると、保険金支払額は約1兆5000億~2兆2000億円規模に上る見通しだ。

地域別の料率が導入されれば、大きな河川周辺部の住民や企業は保険料が上がる可能性が高い。ただ、水災補償の加入率は1戸建て世帯で約30%と低い。「保険料を上げれば、保険が必要な高リスク地域の加入率が下がる」(損保大手幹部)との声もある。

大型ハリケーンで打撃を受けている米国では、水災に備えて国と保険会社による公的な保険制度が整備されている。我が国においても「地震と水害が同時に発生する複合災害のリスクが高まっている。民間保険だけで災害リスクを引き受けるのは難しく、地震保険のように国が関わる保険制度を拡充すべきだ」という意見もある。

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