三井住友銀行が出資する保険代理店の銀泉と三井住友海上火災保険、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が2026年4月に保険代理店を新設する。銀泉と三井住友海上の全額出資子会社が事業統合し、それぞれの強みを持ち寄って企業に最適な保険を提案する体制を整える。
損害保険会社が企業向けの保険料を事前調整していたカルテルの問題では、企業と保険会社が培ってきた商慣習のあり方が厳しく問われた。代理店には適正な業務プロセスの確立や内部管理の高度化が求められている。一連の不祥事を受け、有力な代理店の事業統合が表面化するのは初めて。
銀泉は主に保険と不動産の両事業を手掛ける。銀泉の保険部門と三井住友海上が全額出資している三井住友海上エイジェンシー・サービスの企業向け保険部門を統合する。出資比率は調整中だが銀泉が最大出資者となる。新会社には三井住友FGも出資する方向だ。
新会社の手数料収入は合計で100億円規模となり、従業員数は約800人にのぼる。銀行系の保険代理店では三菱UFJ銀行と親密なエムエスティ保険サービス(約1000人)に迫る規模となる。
足元では提案力が高い代理店や保険仲立人(ブローカー)に保険契約を任せる動きが増えている。企業が銀行系の代理店5社に事業譲渡を相談した件数は24年度に約180件と22年度に比べて8割増えた。