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外資系ブローカーが変える損保市場、規制緩和で後押し 専門性に強み(2025年6月25日日経記事を中心に)

保険仲立人(ブローカー)というなじみのなかった存在が日本の損害保険市場を大きく変えるかもしれない。金融庁は規制緩和を通じて活用を後押しする。外資系のブローカーが持つ専門性や海外ネットワークを評価する企業が増えてきた。

代理店は損保の代理として保険商品を勧める立場にあるが、ブローカーは顧客である企業の側にたって最適な保険を手配する。海外ではブローカーを通した契約が一般的だ。

日本では1996年の改正保険業法でブローカー制度が誕生した。一方で、損保と代理店のなれあいや、規制の重さを背景に活用の機会は限られていた。2023年度のブローカーの市場シェアは1%程度にとどまる。

日本企業の海外進出が進み、海外拠点を含めて一括で保険をかけることへのニーズが増えている。日本企業は拠点や部署ごとにバラバラで保険に加入することが多かった。外資系ブローカーは、拠点網をいかし全世界を対象に保険をかけられるのが強み。外資系ブローカーを通じて、まとめて保険に加入することで保険の重複や付け漏れを解消できる。ある大手製造業では世界でまとめて保険に入ることで約5割保険料を削減できたという。

3大ブローカーは人員拡大に動いている。米マーシュは約70人、英ウィリス・タワーズ・ワトソンは約20人、英エーオンは現在の人員から2割以上増やす予定だ。各社は大手損保で企業営業の経験を持つ人材の獲得に動いている。ブローカーの資格を保有する人も増えており5月には、09年度以来最多の約1700人にのぼった。

ブローカー幹部は「昨年から大手損保の経営幹部との面談の機会が増えている」と話す。大手損保の幹部は「価格競争を持ち込むブローカーは煙たがられた時代があったが、現在は役割分担をしながら、顧客のリスク管理の高度化に取り組むパートナーのような関係になっている」と指摘する。

金融庁はブローカーの活用が広まり、保険の販売経路が増えることで健全な競争環境に近づくとみる。25年秋にもブローカーの活動の幅を広げる規制緩和案を公表する見込みだ。

ブローカーを使いこなせるかは企業次第だ。大手損保幹部は「現状ではブローカーを使いこなせるリスクマネージャーがいる日本企業は少なく、急激な広がりにはならない」と予測する。

自社が持つリスクを企業自身が把握しなければ、ブローカーに良い保険手配の依頼をすることはできない。企業は自社のリスクに精通したリスクマネージャーを育成することが課題になる。

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