ロシア極東差はラインからの液化天然ガス(LNG)の輸入が危ぶまれた問題で、2023年1月以降も当面は継続できる見通しとなった。国内損害保険会社はロシア海域でのLNG船への保険提供をやめると一度通知したが、再交渉で保険を提供できるようになった。
ただ現時点の引受額は従来の670億円の半分強にとどまるとみられ、各船舶の運航計画に影響が出る可能性もある。
東京海上日動、損害保険ジャパン、三井住友海上火災の各社は、2022年12月30日も、ロシア海域で戦争による船舶の沈没や接収などを補償する保険を巡り、再保険会社との交渉を継続。補償総額を従来の半分(335億円)以下から半分強へと積み増した。
焦点は、日本企業が参加する石油・天然ガス開発事業「サハリン2」からのLNG輸入への影響だ。輸入が完全に止まるシナリオは避けられる見通しだが、保険の引受額は半分強にとどまる。このためロシア海域に同時に入れる船舶数が制限され、海域外での船の待ち時間が生じる可能性がある。大手海運によると「海賊の多い西アフリカ沖でも同様の運用をしている」という。
LNG調達が不足した際に想定されるのは、スポット(随時契約)市場からの調達だ。ただサハリン2のLNG取引価格は現在のスポット価格の約半分だ。スポット市場からの調達量を増やすと、各社の業績を圧迫し、電力やガス価格などに上昇圧力がかかる可能性がある。
国内損保各社による再保険会社との交渉は、今後も続く見通しだ。年末年始にかけて、補償総額のされなる積み上げを目指すことになる。