お知らせ

国内生命保険会社2918年3月期決算

・国内の主な生命保険会社16グループの2018年3月期決算が5月25日に出そろった。

・マイナス金利政策による運用難の逆風が吹くなか、徐々に外債に運用先を振り向けてきたことなどが奏功し、下記13グループが増益を確保した。

❶日本生命、❷第一生命、❸明治安田生命、❹住友生命、❺プルデンシャル生命、❻メットライフ生命、❼アフラック、❽東京海上日動あんしん生命、❾富国生命、❿アクサ生命、⓫損保ジャパン日本興亜ひまわり生命、⓬朝日生命、⓭マスミューチュアル生命

・半面、主力の円建ての貯蓄性商品の販売停止等の影響(代替となる商品が無く)で下記3グループが減収となった。

❶MS&AD(三井住友海上あいおい生命等)、❷T&Dファイナンシャル生命、❸ソニー生命

・増益を確保した13グループで共通する増収要因は次のとおり。

  1. 投資先企業の業績改善で配当収入が好調だった。
  2. 海外の債券などに機動的に資産配分したことや米国の好調な経済環境が寄与した。

国内金利が低位で推移するなかで、償還期限を迎えた国債などを少しずつ外債に振り向けてきた。特に対ユーロで円安が進んだことなどが利益に貢献した。

・一方、多くの生保が国債の運用難で「一時払い終身保険」に代表される円建ての貯蓄性商品の販売が再開できない状況が続き、次のように代替となる商品の有無が結果を分けた。

  1. 日生は買収した三井生命保険の外貨建て保険を17年度から日生の営業職員経由で販売。保障額が大きい経営者向け保険も好調で、4%の増収となった。
  2. 第一生命HDも国内のグループ会社が扱う外貨建て保険や経営者向け保険を中核子会社で販売、増収を確保した。
  3. 一方「(為替リスクの有無など)顧客の誤解を生む可能性がある」との考えから外貨建て保険を扱わない富国生命は、基礎利益が過去最高益だったにもかかわらず、8%の減収となった。
  4. 銀行窓口での貯蓄性商品の販売に強みを持つ三井住友海上プライマリー生命保険なども、売り止めの影響で減収となった。

・次年度(2019年3月期)の業績は不透明な市況環境が続くことや、円安などの利益押し上げ要因がなくなるとの判断から慎重な見通しが多い。

・長期の保険契約と長期投資を基本とする生保は、マイナス金利政策による運用難の影響が償還期限を迎えた債券の入れ替えなどで「ボディーブローのように効いてくる」といわれている。

・長らく生保はメガバンクや大手損保に比べて海外展開に慎重だったが、近年は長引く低金利や国内市場の将来的な縮小に備え、国内外での出資や買収が相次ぐ。出資先への運用資産の委託などを通じて相乗効果を高め、グループ全体で収益源を多角化し、収益を持続的に高める取り組みが必要になりそうだ。

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